2017年08月27日

街灯の幽霊




「浦嶋、なんかあった?」
朝、登校してから私の隣の席でずっと挙動不審だった浦嶋を心配したのか、三時間目の後の休み時間、竹下くんが心配して話しかけていた。
「い、いや」
「なにか悩み事か? あれか? もしかして、女か? 恋の悩みか?」
「ちげーよっ!」
突然、大声を上げたから、クラス中の視線が集まっていた。それは当の本人にとっても予想外のことだったらしく、赤面しながら縮こまっている。
「大丈夫かよ?」
「だ、大丈夫だ・・・・・・」
「本当に、なにがあったんだよ?」
「実は・・・・・・」
震えを帯びた弱々しい口調で昨日あったことを語り出す浦嶋だった。


「昨日さ、お前らと遊んでただろ?」「ああ」
「あのあとさ。帰り道、俺、見たんだよ」
「ん? なにを?」
手を胸の前に出して、だらりと力を抜いて垂れさせる。
「幽霊」
「・・・・・・」
「本当だって。本当に見たんだよ。マンションの駐車場のとこ、隅に一つだけ街灯あるだろ? あの下に出たんだよ」
「へ、へぇ〜」
「俺、本当に見たんだよ」
「そ、そうか」
冗談とか、ウソとか、そんなのでは全然なくて、本気で怯えて幽霊を見たと主張しているわけで。竹下くんも、そんな浦嶋をどう扱っていいか判断に困っている様子。
「女でさ。全身ずぶ濡れでさ。よくあるだろ『うらめしや』っての。それ口にしてさ」
「そ、そうか」
「あんなの見るなんて、もしかして、俺、取り憑かれたんじゃ・・・・・・」
「ない、ない、ない。そんなのないから」


昨日、美帆のうちに遊びにいった帰り道、私、夕立に降られた。
朝から快晴で、天気予報でも雨が降るなんて一言も言ってなくて、傘なんて持っていなかった。
最初、ポツポツと大粒の雨が降り始めたんだけど、すぐにそれがバケツをひっくり返したような土砂降りに変り、慌てて近くの家の軒下に避難した。だけど、そんなんじゃ全然雨宿りにはならなかった。横殴りに吹き込んでくる雨にたちまち全身ずぶ濡れになってしまった。
とはいえ、夏の夕立ち。一通りザーと降れば、半時間ほどで止むもんだ。昨日もそうで、しばらくしたら、暗くなり始めた空に星がまたたきだしていた。
下着までぐっしょり濡れた私。くしゃみを一つして、あきらめのため息を吐いて、髪からぼとぼとと水をしたたらせながら、道を歩き始めた。
やがて、駐車場の角の一つだけの街灯の付近。私を追い抜くようにして自転車が走り抜けていく。でも、その自転車を運転してるのって、
「う〜ら〜し〜ま〜」
情けない声を出して呼び止め、タオルでも借りれないか頼もうとしたのだけど、
「う、うわぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜」
大きな悲鳴を上げて逃げて行ったし。
結局、その後は、ずぶ濡れのまま家へ帰ってお風呂で体を温めるまで、何度もくしゃみをした。風邪をひかなかったことだけはラッキーだったわね。


――それ、私。
そう口を挟もうとしたのだけど、その前に、
「でも、綺麗な幽霊だったな。すんげぇ美人で」
うっとりした声でつぶやいている。まるで、心を吸い取られたかのように。
えっと・・・・・・ あ、ありがとう。
というか、そんなこと言われたら、あれが私だったなんて言い出せなくなるじゃない!
「むちゃくちゃ色っぽかった。すんげぇ綺麗だった」
「そ、そうか? そんなにか?」
「ああ。間違いなく、最高の美人幽霊だ」
「そっか。俺も見てみたいな」
竹下くんまで・・・・・・
っていうか、どうすんのよ。二人の希望を叶えるために、あんなところでまたずぶ濡れになったら、今度こそ風邪ひいちゃうじゃない!
絶対、嫌だからね。幽霊になるの。
そんな心の中の声にもちろん誰も気が付くはずもなかった。
そして、昼休みには、その幽霊の話、学校中に広まっていた。
絶世の美人の幽霊が駐車場の街灯の下にあらわれると。
実は私のことだったんだけどなぁ 私って、そんなに綺麗?


もちろん、男子たちが興味本位で見物にいくときは、私、なるべく街灯のところに近寄らないようにしてたのだけど、そしたら、いつの間にか、第二や第三の目撃者が現れていた。
第二の目撃者は隣のクラスの山中さん。帰り道で見かけたらしく、可哀そうに(?)すっかり怯えてたらしい(?)。で、隣のクラスの岩崎君が同情して、ボディーガードを買って出てくれて、毎日行きも帰りも一緒に通学するようになったみたい。昨日も、楽しそうに二人で手をつなぎながら帰っていくの見かけたし。
第三の目撃者は野球部の怖がりの三村くん。ロードワークの途中で目撃して以来すっかりその道を通るのを避けるようになった。おかげで、その先の丘の上の神社の長い階段上りを日課にしてた野球部、このところ学校の周辺の平地ばかりを走りまわっている。
うん、なんだろう? この胸の中のモヤモヤは?
二人が目撃したのは絶対に私じゃないけど、すくなくとも最初の幽霊の正体は私だってみんなに伝えるべきなのかしら?
そう悩んでいたら、どこからか聞きつけてきたのか、テレビ局の取材がきてて、有名なスピリチュアリストの人が、幽霊の正体はその場所で十年前に自動車事故死した女性の霊だなんて断言しちゃった。
おかげでその街灯、全国に知れ渡る心霊スポットになっちゃって、毎日毎日大勢の人が見物にやってくるようになった。本当はただの街灯にすぎないのにね。
というか、そこの道路って、六年前まで単なるあぜ道で、車が通ることなんてできなかったし、だれかが自動車事故に巻き込まれることなんて絶対になかったのだけどな。
でも、おかげでますます言い出せないよ。幽霊の正体が私だなんて。


「はぁ〜」
「ん? 増田さん、どうしたの? ため息なんかついて?」
「ううん。なんでもない」
このところ、毎日ため息ばかりだよ。本当、なんでこんな大げさなことになっちゃうかな。私のせいで全国区の心霊スポットができちゃうし。しかも、いつの間にか街灯の幽霊、アイドル(?)に祭り上げられているし。URM(うらめし)48ってなんなのよっ!
「はぁ〜」
「やっぱり、ため息ついてるよ」
「あ、うん。大丈夫」
相変わらず心ここにあらずな浦嶋くんの様子を見に来た竹下くん、その隣の席の私のこともすごく心配してくれているみたい。気づかわしげに私のことを見てる。
「あ、そうか、増田さんもあそこ通るんだよね?」
「えっ? あそこって?」
「ほら、幽霊がでる街灯のところ」
「あ、ああ。うん」
その幽霊の正体は私なんだけどね。
「そっか。やっぱ、怖いよね。女の子だし。帰り道に幽霊がでる心霊スポット通らなくちゃいけないなんて」
「・・・・・・?」
心の底からすごく心配してくれているみたい。本当、人柄がいいんだろうな、竹下くんって。
「そうだ、今度から、俺、増田さんと一緒に帰ってあげるよ。そしたら、一人じゃないし、もう怖くないでしょ?」
「ええーーーー!」
びっくりして、ヘンな声がでてしまった。
というわけで、今や私の学校の行き帰り、竹下くんが一緒なわけで。
あのとき、『ありがとう。うれしい。でも、その気持ちだけ受け取るね』って断ったし、いつものように一人で下校しようとしたのだけど、竹下くん、勝手についてきちゃった。自分の家、全然、反対方向なのにね。
「大丈夫。増田さんのこと俺が守るから。幽霊なんて怖くないから」
もう絶対に言い出せなくなってしまったな。幽霊の正体が私だなんて。たぶん、この秘密、このまま墓場まで持って行っちゃうのかもね。
「ほら、こうやって手を握ってれば、安心でしょ?」
優しい笑顔を私に向けてくれる竹下くんの手は、とてもとても大きかった。
うん、これなら幽霊でなくても呪いの言葉のひとつやふたつ言っちゃうかもね。『うらやまし〜』って。


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2017年08月20日

カノジョを部屋に連れこむこと




「お姉ちゃん、しばらくはお兄ちゃんの部屋の前の廊下、通ったらいかんよぉ」
当のその廊下の方からお母さんの声が響いてきた。
それは無理な注文だ。その廊下を通らないことには、トイレへだって行けないのだから。しかも、今、私、ちょうどお花を摘みたい衝動に駆られていて・・・・・・
ドアをそっと空ける。
細く空いた隙間から廊下を覗くと、兄の部屋の前で中腰になった母の背中が見えた。どうやら、ドアに耳をあて、中の会話を盗み聴きしているようだ。
――なにしてるのよ。
――ちょうどいいところへ。今、キミヒロのところにカノジョさんが遊びに来てるのよ。で、さっきお茶を持って行ったら、二人、慌てて離れちゃって。うふふふ。あれは絶対、部屋でキスしようとしてたわね。いい雰囲気だったし。
――だからって、盗み聴きはダメでしょ。
――別にいいじゃない。減るもんじゃなし。
――ダメよ、そんなの。
――ええ〜 折角、今いいところだったのに。
――いいところ?
――ほら、あんたもこっち来て耳押し当ててみ。
なんて手招きしてくるし。なにやってんだか。
――やあよ。なんで兄貴のなんか。
――ほらほら、さっきから全然、話し声とか聞こえなくなってきてるのよ。いよいよだわ。きっと、今二人熱く見つめあっている途中ね。
――はぁ〜 なにやってんだか。
――そう言ってる割に、あんたも目、輝いているわよ。
――そんなわけないじゃないっ!
――本当よ。鏡見てみるといいわ。
なんて小声で言い合っていたら、
カチャ
険しい顔して兄貴が睨んでた。
「さっきから全部中に聞こえてるんだからな」
「「失礼しましたぁ〜」」


怖い顔の兄貴にお母さんと二人シッシッと追い払われたのだけど、ドアの隙間から見えた兄貴のカノジョさんって・・・・・・ ああ、あれは、たしか八木くんのお姉さん!
そ、そうなのか、兄貴って八木くんのお姉さんと付き合ってるんだ。
意外な接点にちょっと興奮したりして。
だから、デレデレ顔にもどった兄貴が部屋に引っ込んだら、早速、引き返す。
――ごめん、ヘンな家族で。
――ああ、ううん。大丈夫だよ。別にヘンでもなんでもないわよ。
――そ、そうかな?
――そうよ。私のうちも似たようなこと先週してたし。
――へ、へぇ〜
って、ちょっと待ってよ。似たようなこと? 兄貴と同じように八木くんの家族のだれかが異性を部屋に招いたってこと?
――うちの弟がね、先週家に女の子を連れ込んでね。
――そ、そうなんだぁ
って、ちょっと待って。ちょっと待って。それってどういうこと? 学校でラブ度マックスなアプローチを散々受けていたのに、全然だったニブチン八木くんにだれかカノジョができたってこと? だれ? だれのこと?
思わず、身を乗り出したら、ゴツンとドアに額をぶつけてしまった。
「あいたぁ〜」
「痛いじゃないだろっ! お前までなにやってんだよ」
「ご、ごめんなざい」
退散するしかなかった。
うう。き、気になる〜


兄貴がひっこんだすぐあと、懲りずにまたドアの前。
慎重にドア板に耳を押し当てようとしてたら、突然パッと大きく開いた。
「ったく。お前、なんなんだよ」
「ご、ごめんなさい」
慌てて両手を合わせて、退散しようとしたのだけど、中から微笑みながら私を見つめている目と視線があった。私のどこか必死な視線、気づかれたかも。
「あ、あのー」
「あら、やっぱり、お兄ちゃんのことが気になるのね? やっぱり兄妹だものね」
「いや、そういうのは全然。兄貴が誰と付き合おうが、興味ないです」
「お、お前なぁ そういうこと言うか」「あら、そうなの」
首をひねって、私の言葉を吟味していたみたいだけど、すぐに目を輝かす。胸の前で可愛く手を叩く仕草付き。
「わかった。きっとハルキのことね」
「・・・・・・(ギクッ)」
「そう、そんなにハルキのことが・・・・・・」
私の全身を舐めまわすように眺めてくるし。それに唇のまわりを舌で潤した。
「でも、ごめんなさいね。ハルキ、今、別の女の子とすごく仲がいいみたいなの。ごめんなさい」
うれしそうに顔を綻ばせて、頭を下げてくるわけで。って、意外と八木くんのお姉さんってイジワル? そんなことより、
「別の女の子? 別の女の子って、だれですか?」
「・・・・・・」
まっすぐ見つめる私のことを、多少の同情心を込めながら、見返してくるのだった。
同情なんていらない!
そう心の底から叫びたかった。でも、今はなにも言えなかった。


「ほら、あなたは知っているかしら? ハルキと同じクラスで二丁目の・・・・・・」
「二丁目?」
「二丁目の小山さんってうちの・・・・・・」
「小山さん? サラちゃん? 私の親友のサラちゃんのことですか?」
「ええ、た、たぶんその子」
そ、そうか、八木くん、サラちゃんと・・・・・・
思わず、白い歯がこぼれた。心からの笑顔が咲いた。
「そっか、サラちゃんってば、ようやくあのアプローチが実って、想いが通じたんだぁ」
よかった、よかった。


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2017年08月13日

盆踊り




「お兄ちゃんお待たせ」
「遅いぞ」
「いいじゃん。ちょっとぐらい待たされたって。女の子なんだから」
悪びれもせず、その場で一回転。芹奈は俺に微笑みかけてきた。
「どう? この浴衣、似合ってる? 似合ってるよね?」
「あ、ああ、うん」
「あー、なになに? もしかして、お兄ちゃん照れてるぅ? こんな可愛い浴衣の女の子と一緒に盆踊りだからって」
「な、わけあるかよ。どこに可愛い女の子がいるっていうんだよ」
「もう、素直じゃないなぁ」
「ほら、そんなことより、行くぞ」「待ってよ。急がないでよ。この下駄歩きにくいんだから」


近所の公園で開かれる盆踊り大会。俺たち兄妹が到着したときには、櫓のスピーカーからにぎやかな音頭が流れる中、すでに近所の人たちが輪になって踊っていた。
「あら、石崎くん」
「えっ? や、やあ、こんばんは」「こんばんは」
すれ違った浴衣姿の三人組の中から呼び止めたのは西村さん。
少しウェーブがかかった髪をまとめて肩口から垂らしている。普段学校では見慣れないきちんとした化粧が大人っぽい。
西村さんは、俺のことを上目遣いで見上げ、そして、視線をそらせた。ひっつめの先を指でもてあそび、ほつれてもいない髪を耳にかける。照明に照らされた頬がすこし赤いようだ。
それは、俺にとってとても目を惹く姿だった。とても、とても光輝いて見えた。
「石崎君も盆踊り?」「ああ、うん」
「じゃあ、よかったら・・・・・・」
不意に袖が引っ張られる。妹だ。
「私、あっちに友達見つけたから、行ってるね」
「あ、ああ」
そうして、芹奈は屋台の並んでいる方へと離れていった。
「妹さん?」「ああ」
「可愛い人ね」「ああ」


「あ、悪い。用事思い出した」
「えっ? あ、あの。そ、そうなの? う、うん。わかった」
学校では隣の席で時々会話したりしてるけど、そんなに親しいわけでもない西村さん。いきなりこんな風に二人っきりにされても、正直なにを話していいのかわからない。
もちろん、すごくいい子だなって思ってるし、本当のところ、俺の方が一方的に憧れてさえいる。
けど、だからって、あんな風に寂しそうにしながら去っていく背を見せられたんじゃなぁ
今朝からあいつ、友達がみんな帰省していて一緒に盆踊りへいく相手がいないって嘆いていたのだから。
そのまま俺は屋台の方へ駆け出そうとした。でも、なにか伝えたりないような気がして二三歩進んだところで立ち止り、振り返った。
どこかに残念そうな表情がないかとうかがい見たけど、もちろんそんなことはなく。その場でにこにこしながら胸の前で手を振って俺のことを見送ってくれていた。ちょっとそれが悔しいような気がした。だから、
「西村さん、すごく綺麗だ。浴衣、すごく似合ってる」
「えっ? あ、ああ、ありがとう」
「俺、好きだよ・・・・・・ あっ、そ、その浴衣の柄・・・・・・」
たちまち顔を真っ赤にして頬を押さえている西村さんに背を向けて、俺は駆け出していた。


「ほら、たこ焼き食え。今日は俺のおごりだぞ」
「そんなに食べられないよ」
芹奈は追いかけてきた俺に最初はあきれ顔をしていたが、すぐに苦笑を向けてきた。
そのまま、二人で屋台を巡り歩いて、焼きそばをたべたり、ヨーヨー釣りをしたり。その間にもさっきのほてりは体の中に残り続けていた。
「ねっ、本当にいいの? 西村先輩のこと放っておいて?」
「ああ、構わない。それに、あっちは友達と一緒だったみたいだし。俺なんかがいたら、気まずいだけだろ?」
「そんなことはないと思うけど・・・・・・」
心配してくれるのはありがたいけど、今は芹奈のそばにいてやりたい。それに、さっき口走ったこと思い出しただけで恥ずかしくなる。
「ねぇ? お兄ちゃんって西村先輩のこと好きなんでしょ?」
「ぶっ、そ、そんなことは、な、ないぞ」
「なによ、分かりやすいんだから」
「そ、そんなことより、そろそろ踊りに行こうぜ」
「はぁ もう、こんなんだから、彼女の一人もできないんだよねぇ」
「ほっとけ」


櫓のところまで戻ってくると、近所ののどが自慢のおじいちゃんが歌っていた。その歌に合わせて、人々も踊り、回る。
俺たちは、連れだってその輪の中へ飛び込んでいった。
「実は私、踊り方って、よく知らないのよねぇ」
「俺もそうだな」
そばの人の踊りを見よう見真似でなぞり、手足を動かしていると、なんとなくサマになってくる。近所の人たちと一体感を感じる。
「たのしいね」「ああ」
ようやく、妹の顔にも自然な笑顔が浮かんでいた。
「ねぇ、もういいよ。私は大丈夫だから、西村先輩のところへ行って」
「ああ、でも、今はここにいるさ」
「どうして?」
「俺がそうしたいから」
目の前で困ったような表情を浮かべていた。そして、本当に心からの柔らかい笑みも。
「あとで、後悔するわよ」「別にいいさ」
「本当、シスコンなんだから」
今、俺の顔にも止めようのない笑みが浮かんでいる。
「バカね」「ああ、かもな」


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posted by くまのすけ at 17:19| Comment(0) | 短編・ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする