2017年01月29日

オニを払う




学校から帰ってきて、自室でスマホをいじっていると、ドアがノックもなく開かれた。
「伊織、いるんでしょ?」
「いつも言ってんだろ、ノックぐらいしろよ。ったく」
「別にいいでしょ。あんたの部屋なんだし。ははぁ〜ん。さては、今からエッチなものでも眺めようとしてたわね」
「はぁ? なんでだよ」
「あら、違うの? だってほら、そのパソコンのフォルダの階層の深いところに……」
「だぁ〜! そ、そんなこと、い、今は関係ないだろっ!」
数年前に結婚して今は車で十分ほどのところに住んでいる姉貴だった。実家に近いのをいいことに、こんな風にちょくちょく顔を出している。本当に困った姉だ。
「で、なに? なんか用?」
「伊織、はいこれ、かぶって」
「なに?」
姉貴が差し出してきたものを見ると鬼のお面だった。この時期、よくスーパーなんかで見かける紙のペラペラのヤツなんかじゃなくて、能や狂言でも十分に使えそうな風格のある木彫りのお面。本格的なものだった。
「どうしたの、これ?」
「うん、あっちの家から借りてきたの」
姉の嫁ぎ先は近所でもよく知られた旧家だ。こういうのが土蔵の中にゴロゴロしているらしい。
促されるまま、そのお面をかぶってみる。視界が狭まって、自室がいつもと全く違うように見える。軽く異世界トリップだ。
そうして、部屋の中をキョロキョロ見回していたら、
「翔太、咲、おいで。この部屋に鬼がいるわよ」
姉が子供を呼ぶ声が聞こえてきた。すぐに廊下をドタドタ走る足音が近寄ってくる。そして、
「いーおにいちゃん」「いおりんお兄ちゃん」
「「わぁ〜 鬼だぁ〜」」
「鬼は外」「福は内」
楽しげな声とともに豆まきが始まったのだった。


「鬼は外。福は内」
甥っ子たちが俺を追いかけて豆をぶつけてくる。キャッキャ言いながら投げるのだが、なかなかうまく投げられないようだ。俺の体に届く前に床に落ちる。
「ぐわぁ〜! なぐごはいねがぁ〜」
「伊織、それは違うヤツ」
「じゃあ、どう吠えればいいんだよ」
「さあ? 適当に考えなさい」
「丸投げかよ」
仕方がないので、『ごわぁ〜!』とか、『どひゃ〜!』とか適当に吠えながら、子供たちと戯れるようにして、逃げていたのだが、不意に、
――ピュン。
耳元を鋭い勢いで何かが飛びぬけていった。ついで、
――ピュン。カン。
少し先の廊下で何かが跳ねた。豆だ。俺のすぐそばを飛びぬけていった豆が跳ねたのだ。
「えっ?」
振り返ると、いつのまにか甥っ子たちが武器を構えていた。ゴムの弾力で豆を飛ばす飛び道具。ぱちんこ。スリングショット。
「って、こら、危ないだろ」
慌てて、制そうとしたのだが、
――パチンッ
「いてっ!」
伸ばした手の甲に横から豆が当てられた。すげぇ、痛い。
見ると、姉貴までもがスリングショットを俺に向けている。
「って、姉貴まで何やってんだよっ!」
そんな俺の抗議を無視して、無言で豆をセットして、パチンッ。今度はふくらはぎ。ズボンの上からとはいえ、結構痛い。
って、おいおい。
子供たちばかりではなく、姉貴も俺を狙ってきた。その上、的確に当ててくる。
「鬼は外。福は内」
感情のこもっていない平板な声で、狙撃してくる。
――カンッ!
お面に豆があたった。


結局、家の中じゅうを逃げ回り、ついに俺は外へ飛び出す羽目になった。気が付いたら、中から鍵が掛けられていて、締め出され、もうもどれない。俺のカギはカバンの中で今は自室の中。
「どうなってんだよ」
お面の下で愚痴るぐらいしかできなかった。
仕方がないので、近所に住む幼馴染みの家へ向かいあがりこんだのだが、
「鬼は外。福は内」
すぐに幼馴染みの家族に追い出された。スリングショットで豆をぶつけられて。
その後も、友人の家を転々とし、そのいずれでも、俺は問答無用で豆をぶつけられ、追い払われてしまった。
「どうなってんだ? いくら節分だからって・・・・・・」
結局、行くところを失くして、公園のブランコに腰かけ、夕闇が訪れるのを眺めていたのだが、
「もし、そこのお兄さん、お困りかえ?」
どうやら、俺に声をかけているみたいだ。声の主の方を見ると、今までに近所で見かけたことがない男性が犬の散歩をしている。『MONKEY EATS KIBI』というロゴの入ったジャージを身にまとい、フンの始末をするための道具が入っているらしい鳥の絵が描かれた巾着を手にしている。
「あ、はい。なんか、今日は節分だから、豆ぶつけられて、家を追い出されちゃって」
「ああ、それはお気の毒に。そうだ、こんな寒空の下で、行くところがないのでしたら、我が家にでもいらっしゃいますか?」
「えっ? いいんですか?」
「ああ、構いませんよ。私、この先に住む岡山って言います」
岡山さんはとても親切な人のようだ。好意に甘えて、俺は早速近くにあるという岡山さんの家にお邪魔することにした。
けど、この場所は我が家の近所だし、駅の行き帰りに何度も前の道を通ったはずなのに、岡山さんなんていう家があること自体気が付いていなかった。家の前にはデカデカと表札がでているというのに。不思議なことだ。
岡山さんの家に上がると、すぐに温かい飲み物を出してくれた。
ずっと外にいて、いい加減凍えていた体にはありがたいもてなしだった。
「ありがとうございます。助かります」
芳醇な桃の香りがする奇妙な飲み物。今まで飲んだことがないものだった。でも、とてもうまい。口当たりがよく、熱いといってもいいほどなのに、ごくごく飲める。
またたく間に、俺はそれを飲み干した。
しばらく、手の中の空になった湯呑みを眺め、しばし、もう一杯おかわりをもらおうか悩んでいたのだが、急に猛烈な痛みが頭を襲ってきた。それと同時に強烈な眠気も。今日は半日走りまわる羽目になったから、思っていた以上に体が疲れていたのだろうか。
頭がくらくらする。もう座ってなんかいられない。無作法だとは分かってはいても、我慢できずに、ついに、俺はその場で横になってしまった。
そして、意識を失う寸前、俺は岡山さんがなにごとかつぶやいているのを耳にしていた。
「ふふふ。薬が効いてきたみたいだな。この鬼め、覚悟しろっ!」


翌日、目が覚めた時、俺は自室のベッドの上に寝ていた。
両親に尋ねると、昨日遅くにフラフラと帰ってきて、そのままなにも言わずベッドに倒れこんだらしい。全然、記憶にはないのだが。
俺が昨日かぶっていた鬼の面は、テーブルの上に投げ出されており、これといって傷はついていないようだ。
夕方、姉貴たちがまた顔を出してきた。早速、俺の部屋に甥っ子たちが飛び込んでくる。
「いーちゃん」「いおりん」
子供たちは俺に抱き付いてくる。けど、昨日まで『いーおにいちゃん』『いおりんお兄ちゃん』とか呼んでいたのに、呼び方変えてきたのはどうしたのだろうか?
「こら、『お兄ちゃん』だろ?」
「ええー いーちゃんはいーちゃんだよね。ねぇ、咲」「うん。いおりんはおじちゃんだよ」
お、おじちゃん・・・・・・
た、たしかに、血縁関係的にはこいつらの叔父ではあるのだけど。だとしてもよりにもよって俺が『おじちゃん』?
その不意の言葉に衝撃を受けるしかなかった。そして、その後も、子供たちは俺のことを『おじちゃん』呼ばわりしつづけ、二度と前のように『オニイちゃん』と呼んでくれることはなかった。
そう『オニ』は追い出されたのだった。永遠に。
――鬼は外。福は内。


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2017年01月22日

君に伝える言葉




「ハルカ」
私が上げたトスに飛び込んできたハルカが利き腕の右腕を振り抜く。存外軽い音を残して、ボールはネットの向こうのコートに鋭く突き刺さった。
「いいよ。今の感じ」「OK」
――君に伝える言葉を探してる。
「もっかいお願い」「わかった」
――伝えなくちゃいけないことがあるのは分かってる。
「いくよ」
――だけど、それを言葉にできない。僕の言葉がでてこない。
「はぁ〜」
頭の上に飛んできたボールをはじこうとして、結局、両手でつかんだ。
「凌太、うるさいっ!」
――僕は君に・・・・・・
私の投げつけたボールは、舞台の上で四つん這いになって歌詞を書いている凌太の頭を直撃した。
「いてっ! なにすんだよ、姉ちゃん」
「あんた、うるさいよ」
「いいだろ、別に」「よくない。練習の邪魔」
途端に頭を抱えた。ボールがあたった痛みのせいじゃないようだ。
「って、ああ、今折角いい歌詞が浮かんできたと思ったのにぃ! どうしてくれるんだよ!」


一週間ほど前から軽音部の凌太が体育館の舞台の上で曲を作りだしたのは、演劇部の部長の宮原くんに作曲を頼まれたからだ。
来月の終わり、三年生は卒業する。その卒業式に合わせて、演劇部が毎年送別公演を行うのがこの学校の恒例行事になっているのだが、なんと今年はミュージカルに挑戦するのだという。なんでも、去年の文化祭、弟たち軽音部の演奏に演劇部の部員たちが感銘を受けて、そんな決断をしたらしい。
正直、私には大した演奏だったとは思えないのだけど、彼らの良く分からない妙な琴線にでも触れたのだろう。
だけど、文化祭で披露した曲目だけでは、どうしても曲数が足りない。なので、二,三曲、追加で作曲を依頼してきたってわけだ。
「曲作りたいんなら、どっか別の場所で作りなさいよ」
「ええ、ヤダよ。部室の第二音楽室、しばらく合唱部の練習でうるさいし。ここなら、使ってないピアノあるから、ちょうどいいんだよ」
なんて言っているけど、ここに現れるようになってから、一度も舞台の袖のピアノをいじっていない。
「それに、ちゃんと湊ちゃんの許可とってるし」
「うぐっ」
湊ちゃんとは、我がバレー部のコーチのことだ。ったく、あのコーチは。
「ねぇ、ハルカもなんとかいってやってよ。こいつ迷惑だよね」
「えっ? あ、ううん。私、宮原くんの劇楽しみにしてるから」
「ガーン、ショック。親友にまで裏切られた・・・・・・」
凌太はその後も、舞台の上でウンウン唸りながら曲と格闘していた。
時には、舞台の上を尺取り虫のように這いまわり、ゴロゴロと転がり、でんぐり返し。
「制服汚れるでしょ。お母さんに怒られるわよ」
前転、バク転、側転に、ロンダード。そして、挙句にロン宙まで。
って、中川ちゃん、感心してパチパチしない。あのバカ、ますます調子に乗っちゃうでしょ。
「こら、凌太、目障り。どっか行け」
もちろん、出ていくはずもない。はぁ〜


「ねぇ、弟くん、宮原くんの劇、間に合いそう?」
休憩中スポーツドリンクを飲んでいるとハルカが凌太に声をかけている。
「うん、台本はもう上がったって言ってたよ。もう演技の練習に入ってるって」
「そうなんだ」
ハルカは、どこかホッとした様子だ。
まあ、確かに、私たちと同じクラスの宮原くん、このところ疲れている様子で、授業中もよく机に突っ伏して居眠りしている姿を見かけた。ハルカもそれが気になっているみたいで、ちょくちょく心配そうに声をかけたり、弟から様子を聞いたりしている。
「昨日、うちの部の先輩たちと演劇部の方、見学に行ったけど、宮原先輩、なんか一年の女の子と仲良さそうにしゃべってたよ」
「えっ?」
「すごく親しげな感じでさ。こないだも昼休みに食堂で一緒にメシ食ってるの見かけたし。あれってやっぱり・・・・・・」
「・・・・・・」
なんか、ハルカの顔がひきつってるような・・・・・・
「ハルカ、大丈夫?」「あ、う、うん。大丈夫。うん」
精一杯笑顔を作ろうとしているのだけど、ライオンに追いつめられた草食動物みたいな目をしてるし。
「だ、大丈夫。うん。だいじょうぶ」


――君に伝える言葉を探してる。僕の言葉を。
私の上げたトスはドンピシャだったはず。なのに、ハルカのスパイクはボールを捉えていなかった。小学校の時からずっとコンビを組んできたのに、めずらしいこともあるものだ。
――今、君に伝えなければ、永遠に君は僕のそばからいなくなって。でも、まだ僕の言葉は見つからない。
「もっかい、行くわよ」「う、うん」
そして、また同じミスをした。
――なにを伝えるべきかは分かっている。でも、その言葉が形にならない。
ハルカは立ちすくみ、足元を見つめている。
――今すぐ君に・・・・・・
突然、私に背を向けた。
「ハルカ?」
返事もせず、体育館の出口へ向かって歩き出す。
――伝えなくちゃ。
ゆっくりとスピードがあがり、足の回転が早まり、駆けだす。
「ハルカ」
呼びかける声に振り向くことなく、その走る背中はドアの向こうへ消えていった。


「ったく、わざとでしょ」
苦笑を浮かべて問う私に、悪びれることなく。
「てへっ。だって、この一週間、宮原先輩の方もしつこくハルカちゃんのこと訊いてくるんだもん」
「はぁ〜 どうせ、仲のいい一年の女子って、演劇部にいるっていう宮原くんの妹さんのことでしょ?」
凌太は、肯定するように片頬を歪めて笑った。
「姉ちゃん、でも、おかげで結構いい曲できたと思わない?」
私の言葉は、胸に抱えていたボールを凌太の頭めがけてトス。ただそれだけ。満面の笑みで。


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2017年01月15日

ヤスケ




仕事帰り、自宅の郵便受けをのぞいてみると俺宛のハガキが届いていた。
結婚報告の手紙。高校時代、三年間を一緒に漫研で過ごしたスギがとうとう結婚したらしい。
高校を卒業して、すでに十年以上が経っている。あいつとは三年前の同窓会で顔を合わせたっきりで、あとはずっと年賀状のやりとりだけだった。
「そっか、あいつ、やっと結婚したんだ」
ハガキの裏には写真が印刷されてあり、真っ白なタキシードを着てポーズをつけて立っているスギの隣で、ウェディングドレスに身をつつんだ新婦さんが優雅に腰かけている。
けど、新婦さんの方、どこかで見覚えがあるような気が・・・・・・
すこし考えて、思い出した。漫研の一つ下の後輩だった。



受験シーズンが忙しくなると、学校の授業は自習ばかりになり、俺たち三年生は、登校してもしなくてもよくなった。
だから、俺は今朝から家に閉じこもって問題集を解いていた。けど、集中力なんてそんなには続かない。しだいに飽きてきて、本棚のマンガに手が伸びそうになったり、この夏に封印したはずのゲーム機に目が行ってしまう。
これじゃダメだと、思い切って近所の図書館へ向かったのだが、あいにく混んでいて席が空いていない。
さて、どうしたものかと戸口で考え込んでいたところで声をかけられた。
「よお、タッツ、ひさしぶり」
「そっちこそ、ひさしぶりだな。スギ」
「そっちも勉強か?」
「ああ。でも、ほら、空いてない」「だな」
二人して、ため息を吐くだけ。
「しゃーない、うちに来るか?」
「おっ、助かるわ」
というわけで、スギの家へ。


スギの部屋にお邪魔する。
「相変わらず、ぐちゃぐちゃだな」
「ほっとけ」
「掃除ぐらいしろよ」
「いいだろ、別に死ぬわけじゃねぇんだから」
「親とかなんにも言わねぇのかよ」
「全然」
「ちぇっ。うちの親は口うるさいのに」
そんな散らかった部屋の中で、なんとか座る場所を確保して、俺は腰を下ろした。まあ、実際のところ、散らかり具合で言ったら俺の部屋といい勝負なんだが。
そうして、持ってきていた勉強道具を出し、問題集を広げる。さて、いざ取り掛かろうとして、それに気が付いた。
テーブルの隅、色紙が転がっている。
「これは?」
「ああ、去年の暮れに漫研の佐和ちゃんがくれたんだ。受験のお守りだってさ」
色紙には、イラストが書き込まれている。肌の真っ黒いイケメン男子が水浴びしている絵。
佐和ちゃんというのは、俺たちの一つ下の漫研の後輩。現在の副部長だ。戦国武将だとか、三国志の英雄だとか、明治維新の志士たちをイケメン風にして、史実に沿ったコメディータッチのマンガを描いている。
「ってことは、これもだれか歴史上の人物か」
「ああ、ヤスケとか言ってたな」
「ヤスケ?」
語感からすると、日本名っぽいけど、そのイラストの人物は明らかに黒人系の肌の黒さ。とすると、三国志の登場人物なのかな?
だが、歴史が得意なわけでも、大して詳しいわけでもないので、見当もつかない。
「ま、いいか」
そのときはそれだけで別の話題へ移っていった。


けど、家に帰り、ふと思い出して調べて見た。
弥助。三国志の人物なんかではなくて、織田信長に仕えていた家臣の一人で、元はバテレン宣教師が連れていた黒人奴隷出身の人物だった。
有名なエピソードとしては、信長に初めて拝謁したときに、その肌の黒さをいぶかった信長が家臣たちに体を洗わせたが、その肌の色は落ちず逆に濡れて黒光りしたという。
「ああ、だから、スギの部屋にあったイラストは水浴びしてたのか」
肌の黒さは落ちなかった。⇒ 落ちない ⇒ 志望校に落ちない。
たしかに、受験のお守りだな。
納得した。
――けど、そういや、去年の終わり、俺も漫研に顔を出して後輩たちに挨拶したけど、俺、なにももらってないぞ。俺も受験生なのに・・・・・・
これ以上なにか考えると、ちょっと受験に差しさわりそうな気がしたので、俺はそのときそれ以上考えないようにした。
うん、おかげで第一志望の大学に合格できたから、ヨシとしよう。うん。
ううぅ、しくしく・・・・・・



そんなことを思い出しつつ、写真の中、満面の笑みを浮かべている佐和ちゃんの姿を眺めた。
「綺麗になったな」
分厚い眼鏡をかけて、奇声を発しながら、お気に入りのイケメン武将たちを描いていた姿を思い出して笑ってしまう。
そして、
「念願がかなったんだな。おめでとう」
写真の中の佐和ちゃんに祝福の言葉をかけるのだった。
だって、弥助にはもう一つ有名なエピソードがあるのだから。
それは本能寺の変で信長の従僕として圧倒的な戦力差があった明智勢に対しても、あきらめず最後まで戦いを挑みつづけ、ついには生き残った人物なのだから。
そして、スギはそのことを知らない。


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posted by くまのすけ at 17:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編・ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする