2015年09月27日

残業




十月一日。日本では新年度が始まってから、半年の時間が経ったことになる。そう、今日から下半期だ。
テレビでは番組の改編が行われ、新しい番組がこの週から順次放送されていくことになるし、大学では長い夏休みが終わって前期の試験が開始されるころ。
まあ、そんなことは、今の私には、あまり関係ないことなんだけど。
私にとって一番大事なのは、今日が光樹の誕生日だってことなのだから。


今朝、バッグに光樹に渡す誕生日プレゼントを忍ばせながら出社してきた。
もう大変。いつものギューギュー詰めの満員電車。バックがつぶれないように、必死に体の前で抱いて守ってきた。おかげで、吊革に捕まれなくて、電車の中もみくちゃ。揺れに合わせて何とか体重移動しようと努力したけど、全然うまくいかなかった。何度もこけかけて、周りの人にもたれかかる羽目になってしまった。みなさん、どうもご迷惑をおかけしてごめんなさい。
でも、中には、チャンスとばかりに体を触ってくる不届き者もいて。まあ、よろけたふりして、そのオヤジの股間に思いっきり膝蹴り入れてやったのだけど。なんかヘンな声上げて悶絶してたの、いい気味だったわ。おほほ。ごめんあそばせ。
そういうこともあって、なんとかプレゼントの箱を無事に会社まで運んでくることができた。
あとは、先月約束した通りに退社後会社の外で会って、デートしながら渡すだけ。
うふふ。渡したとき、光樹がどんな顔をするのか、今からたのしみだわ。


などと朝には考えていたのだけど。
「ああ、岩崎さん、この後、ちょっと残っててくれないかな?」
終業直前、直属の上司がよりにもよって残業を頼んでくるわけで。
「あ、え〜と・・・・・・」
「あれ? もしかして、なにか用事あった? あ、もしや、デート?」
「え、あ、はい・・・・・・」
「そっかぁ〜 じゃあ、申し訳ないな。他の人にでも頼んで・・・・・・」
上司は、わざとらしく職場の中を見回すのだけど、もちろん、そんなことを頼めるような人なんて、今はこの職場にはおらず。というか、これ絶対、わざと私しかいないタイミングを狙ってきたようにしか見えないのだけど。同僚のひとりは有給休暇中で海外だし、さっきまでいた先輩は、お子さんが熱を出してるとかで、早めに切り上げさせたのその上司自身だし。
ともあれ、普段は男っぽく暑苦しい上司、今は眼尻を濡らさんばかりにして、見つめてくる。懇願のまなざし。子犬かっ!
うう・・・・・・ 分かったわよ。分かりました。
「はぁ で、なにすればいいんですか?」
しぶしぶ承諾する返事にパッと顔を輝かせた。
「あ、いいの。悪いね。デートなのに」
「いいえ。別にいいです。デートなんて、いつでもできるから」
でも、光樹の誕生日は、今日しかないのだけど・・・・・・
一緒に祝ってあげられるの、一年後かぁ
ともあれ、別の部署で働く光樹に社内メールで残業を頼まれたことを知らせて、上司に頼まれた仕事を片づけていく。
気が付いたら、私のメールボックスに光樹からの「わかった」ってだけの短い返事が来ていた。


上司に頼まれた残業の仕事、さほど難しいものでもなく、一時間ほどで半分がた片付いた。もう一時間もあれば終わりそうだ。
時計を確認して、帰りの時刻を予想する。
そういえば、今晩食べるものあったかな? デートの約束だったから、たぶん晩ご飯の食材、冷蔵庫に用意してなかったはず。帰りにコンビニにでもよってお弁当でも買わなきゃ。
はぁ〜 レストランでの食事がコンビニ弁当かぁ〜
今頃、光樹とふたりでワインを飲んで。ふたりっきりの親密な時間を過ごしていたはずなのに・・・・・・
目の前のパソコン画面を眺める。
はぁ〜 ため息しか出ないよ。
「岩崎さん、はい、コーヒー」
私のそばにインスタントのコーヒーが入ったマグカップが置かれた。
「ありがとうございます」
「どう? 終わりそう?」
上司が私のすぐそばに顔を寄せて、画面の中を覗き込んでくる。
「はい、あと一時間ぐらいですかね」
「そっか。ごめんね。デートだったはずなのに」
「ううん。大丈夫ですよ。気にしないで下さい」
いや、気に病め。乙女の大切な時間を奪ったことを一生後悔しろっ!
お腹の中にたまっている鬱々とした気持ちをその苦いコーヒーで洗い流した。


仕事は順調にすすみ、ようやく終わりが見えてきた。
予定よりも、若干早く終わりそうだ。でも、もう光樹は帰ったんだろうな。
コンビニ弁当食べて、今日は早く寝よう。くすんっ。
「おっ、だいぶ進んだみたいだね」
いつの間にか、上司が私の背後に立って、頭越しにパソコン画面を覗き込んでいる。自分で淹れたお茶をすすって、ホッとした顔をしている。
けど、そんなに私の仕事の進み具合を気にしているヒマがあったら、自分の仕事に集中すればいいのに。自分も残業しているのだから。そっちの方はいいのかしら?
「あと、もう少しですね」
「そっか。悪かったね」
「いえいえ」
うん、とってもひどい上司です。べぇ〜
心の中で舌を出しつつ、キーボードを打つ指に力を込める。あと数文字打ち込んで、エンターを押せば完成だ。
「そうだ。今日のお詫びに、晩めし、おごらせてよ」
「えっ?」
「どう? いや?」
残業を頼んできたときと同じ上目遣いの子犬の目。うう・・・・・・
「えっと、あの・・・・・・」
そうこうしている間に、私の指はエンターキーを押し込んでいて、作業は終了していた。
どうしよう。あとは、このまま帰るだけだし、折角だから、上司におごらせて晩ご飯すますべきかしら? 一人で、コンビニ弁当というのもなんだし・・・・・・
けど、今日はもともとは光樹と二人でデートの約束だったのに、それを残業を理由に断って、今度は上司と食事だなんて、いいのだろうか? ううん、よくはない。それは分かってる。
私、どうしよう。
「寿司なんかどう? ほら、こないだ話してた美味しいって評判の店。一度行ってみない?」


――ぐぅ〜
すっかり暗くなった駅前の道をとぼとぼと歩いているとお腹がなる。
うう・・・・・・ やっぱり、お誘い受けるべきだったかな。
お寿司かぁ 食べたかったなぁ〜
色づき始めた街路樹が、風に吹かれてカサカサ鳴っている。
道の途中にある予備校の出入り口付近にたむろしている高校生たちが楽しそうに話している。みんな、なにを話しているのだろう? きっと、好きな人のこととか話しているのかな?
恋人と今度の休み、どこへ行こうとか、デートの後でなにを食べようとか。
まさか、恋人の誕生日に、晩ご飯、コンビニ弁当を食べなきゃいけなくなるなんて、だれも思ってもいないんだろうな。社会人になると、そんなのばっかりになるなんてさ。はぁ〜
不景気に失望のため息をついて、駅への道を急ぐ。
ああ、そうだ。光樹に今日のこと謝っておかなきゃ。
駅の明かりが見えてきたところで思い出して、スマホを取り出した。歩道の端によって、光樹の電話番号を呼び出し、耳に当てようとすると。
「おつかれ」
温かい息を首すじに感じながら、その低くて優しい声音を耳にする。肩を抱くように前に回した手がギュッと私を包み込む。
「待っててくれたの?」
「ああ、もちろん」
ほっこりした気分。し、幸せ〜
「うそつき。息がお酒くさいよ」
「ふふふ、バレたか。しょぼくれてたら帰りに上司に飲みに誘われたんだ」
「そう」
長い期間、夜風にさらされていたのか、冷たくなっている頬が私の頬に触れる。たぶん、本当に飲み会が終わったあとも、ここで私のことを待っていてくれたのだろう。
「そうだ」
「ん? なに?」
「ハッピーバースデイ」
私のプレゼントを受け取りながら、光樹は照れるような笑みを浮かべていた。心底からうれしそう。幸せそう。
そう、今日、朝から一番見たかったその光景が目の前にあった。
あ、そうだ、記念に写真とっておこう。
としたのだけど、やっぱり――
――ぐぅ〜
「お腹空いたぁ〜」


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posted by くまのすけ at 17:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 短編・ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月26日

漢字パズル試作02

表の中にある文字はそれぞれ漢字の一部です。なんの漢字なのか考えて、熟語を作りなさい。
ただし、太字はそれ自体で一つの漢字として扱い、ひらがなの場所はその漢字の読みの一つです。
登場する漢字は、四年生ぐらいまでに習う漢字を使っています。

1)ピンクの箱の漢字で作れる熟語はなんでしょうか?









しょ
しゅつおもい
らいどうつの
ことらく
かず
しん

見えにくいけど、「一」と「三」も太字になってます。


2)ピンクの箱の漢字で作れる熟語はなんでしょうか?









かず
みみ
西
どうせき
かくけい

posted by くまのすけ at 22:40| Comment(0) | TrackBack(0) | パズル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月23日

漢字パズル試作01

漢字の共通する一部分(ヘンやツクリなど)を順番に辿ってみよう。
例)話→活→池

ルール)
・タテとヨコにしか行けない。
・必ず、元の漢字の一部分(または全体)と同じものが移動先の漢字にもなくてはならない。
・読みは送り仮名を含んでいる場合がある。
・漢字は四年生までに習うもののみ。

1)イエからヒロイまでたどってみよう。









イエヤスイアネイチアルジサカヘンツツム
マモルイモウトハクイタトオルミチ
ムラテラサトイケカイイワウレイ
ホントキサクオシエルガクサカエルフダ
オウタマツクルバケルロウソソグハシラザイ
ケイクニキタカンガエルオサメルスムダイ
スルヒダリアシハジメルツクツイ
セキユウミギオンナヒロイ


2)ジュウからカウまでたどってみよう。









ジュウケイドクツタエルクモアメアビルタニ
ソコカミツヅクカカリヤシナウナガレルオチルナク
ミセヒクイミドリロクギンリョウキャクフルイ
テンゼンヒガシショクヤカタミヤ
テラスツヨイヒクムカシツギノムハテ
ショウオオヤケユミキョウロクマジワルコウハナ
ヘンワケルチカラクワエルエントオイモリ
ススムハジメテキルトイセキアソブハヤシカウ












四年生までに習う漢字は以下の通り
一年生
一 右 雨 円 王 音 下 火 花 貝 学 気 九 休 玉 金 空 月 犬 見 五 口 校 左 三 山 子 四 糸 字 耳 七 車 手 十 出 女 小 上 森 人 水 正 生 青 夕 石 赤 千 川 先 早 草 足 村 大 男 竹 中 虫 町 天 田 土 二 日 入 年 白 八 百 文 木 本 名 目 立 力 林 六(80字)
二年生
引 羽 雲 園 遠 何 科 夏 家 歌 画 回 会 海 絵 外 角 楽 活 間 丸 岩 顔 汽 記 帰 弓 牛 魚 京 強 教 近 兄 形 計 元 言 原 戸 古 午 後 語 工 公 広 交 光 考 行 高 黄 合 谷 国 黒 今 才 細 作 算 止 市 矢 姉 思 紙 寺 自 時 室 社 弱 首 秋 週 春 書 少 場 色 食 心 新 親 図 数 西 声 星 晴 切 雪 船 線 前 組 走 多 太 体 台 地 池 知 茶 昼 長 鳥 朝 直 通 弟 店 点 電 刀 冬 当 東 答 頭 同 道 読 内 南 肉 馬 売 買 麦 半 番 父 風 分 聞 米 歩 母 方 北 毎 妹 万 明 鳴 毛 門 夜 野 友 用 曜 来 里 理 話(160字)
三年生
悪 安 暗 医 委 意 育 員 院 飲 運 泳 駅 央 横 屋 温 化 荷 界 開 階 寒 感 漢 館 岸 起 期 客 究 急 級 宮 球 去 橋 業 曲 局 銀 区 苦 具 君 係 軽 血 決 研 県 庫 湖 向 幸 港 号 根 祭 皿 仕 死 使 始 指 歯 詩 次 事 持 式 実 写 者 主 守 取 酒 受 州 拾 終 習 集 住 重 宿 所 暑 助 昭 消 商 章 勝 乗 植 申 身 神 真 深 進 世 整 昔 全 相 送 想 息 速 族 他 打 対 待 代 第 題 炭 短 談 着 注 柱 丁 帳 調 追 定 庭 笛 鉄 転 都 度 投 豆 島 湯 登 等 動 童 農 波 配 倍 箱 畑 発 反 坂 板 皮 悲 美 鼻 筆 氷 表 秒 病 品 負 部 服 福 物 平 返 勉 放 味 命 面 問 役 薬 由 油 有 遊 予 羊 洋 葉 陽 様 落 流 旅 両 緑 礼 列 練 路 和(200字)
四年生
愛 案 以 衣 位 囲 胃 印 英 栄 塩 億 加 果 貨 課 芽 改 械 害 街 各 覚 完 官 管 関 観 願 希 季 紀 喜 旗 器 機 議 求 泣 救 給 挙 漁 共 協 鏡 競 極 訓 軍 郡 径 型 景 芸 欠 結 建 健 験 固 功 好 候 航 康 告 差 菜 最 材 昨 札 刷 殺 察 参 産 散 残 士 氏 史 司 試 児 治 辞 失 借 種 周 祝 順 初 松 笑 唱 焼 象 照 賞 臣 信 成 省 清 静 席 積 折 節 説 浅 戦 選 然 争 倉 巣 束 側 続 卒 孫 帯 隊 達 単 置 仲 貯 兆 腸 低 底 停 的 典 伝 徒 努 灯 堂 働 特 得 毒 熱 念 敗 梅 博 飯 飛 費 必 票 標 不 夫 付 府 副 粉 兵 別 辺 変 便 包 法 望 牧 末 満 未 脈 民 無 約 勇 要 養 浴 利 陸 良 料 量 輪 類 令 冷 例 歴 連 老 労 録(200字)

posted by くまのすけ at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | パズル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする