2019年03月11日

浮気中ですw

すっかり更新しなくなってしまいました・・・・・・

いや、ずっと書いていないってわけじゃないのだけど。
なんか、こっちまで手が回らなくなってしまったというか。
今はこっちのブログでなく、『カクヨム』という投稿サイトに最近は浮気(投稿)してます。
キャッチコピーをつけたり、コンテストに応募してみたり、なかなか楽しいですね。
なので、飽きるまでのしばらくはカクヨムさんを満喫することにして、こっちは放置にします。

カクヨムさんでは、『しかまさ』の名義で活動しています。よかったら、遊びに来てもらえるとうれしいですね。

posted by くまのすけ at 07:41| Comment(0) | サイト情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月03日

ただし、イケメンに限る




「行くぞ、全国!」
「「「「「オー」」」」」
突然、文芸部の部室の窓の下、グラウンドの方から気勢を上げる声が聞こえてきた。おかげで暖かい陽差しに包まれて暖房のきいたテーブルに突っ伏して昼寝していたのに、目が覚めてしまった。
「どこの運動部だよ。ったく」
文句を言いつつ、窓の方に視線を向けるが、テーブルに突っ伏した姿勢のままでは、グラウンドの様子は分からない。
――がんばれー
追いかけるように外からは黄色い声援も聞こえてきている。
とすると、女子たちに人気がある野球部かサッカー部か?
だが、野球部なら、『全国』じゃなく『甲子園』だろう。
それに、この学校のサッカー部はエースストライカーの上野をはじめ割とイケメン揃い。クラスの女子たちが熱をあげているのをよく目にする。
もっとも、うちの学校は弱小校のサッカー部。それでも、女子たちが熱心に応援するなんて、イケメン以外の理由はありえないだろうしな。
「ただし、イケメンに限る、か」
思わず、ポツリとこぼした俺のつぶやきに、向かいの席で文庫本を読んでいた戸田が眼鏡越しの視線をチラリと向けてきた。


「なによ、それ?」
「ああ、万年一回戦負けのうちの学校からじゃ、全国なんて行けるわけないだろってこと」
「……」
「だいたい県内に全国からスポーツ特待生を集めまくってる私立があるのに、勝てっこないじゃん。がんばったって無駄なんだよな」
俺の至極当然すぎる明白な事実の指摘に、戸田が盛大なため息をついていた。
「はぁ〜」
「なんだよ、そんな可哀そうなヤツみるような顔してよ」
「当たり前でしょ。心底呆れてるんだから」
「はぁ? なんで?」
俺、なにか呆れられるようなこと言ったか?
「女って、みんなイケメンが大好きだろ? だから、イケメン揃いのサッカー部応援するんだろ?」
「当然じゃない。イケメンは正義よ!」
「ほら、やっぱり」
あらためて言い切られてしまうと、それはそれでブサメン男の一人としては悲しいのだが……
「でも、だからって、みんながみんなイケメンばかり応援するわけじゃないわよ」
「えっ?」


「だれだって、美形がいいに決まってるわ。中村だって、ブスよりも美少女の方が好きでしょ?」
「……うん」
素直に返事した途端、テーブルの下で俺の足が蹴られた。
「いてっ!」
「ふんっ」
いや、戸田も十分に美少女の部類に入ると思うのだけど…… そんなこと恥ずかしくて口にはできないけども……
「ヒトがヒトを好きになるのって、要するに、この人と一緒にいれば、精神的、経済的に満たされるんじゃないかって期待することよね?」
「う、うん……」
戸田と二人っきりでいるこの部室での時間は俺にとっては至福の時間である。でも、戸田にとってはどうなんだろう? まさか、苦痛だとは思っていないよな? ま、一番可能性が高いのは、なんとも思っていないとかぐらいか?
「イケメンと一緒にいさえすれば必ずそうなれると思う?」
「え?」
「イケメンだったら、みんながみんな社会の成功者になるの?」
「いいや、そんなことは。成功者になるにはイケメンかどうかは関係ないような……」
もしそうなら、俺は確実に社会からの落伍者になるだろう。
「そう。イケメンだからって成功するとはかぎらない。それどころか、私たちの中の誰が将来の成功者になって、だれがそうじゃないのかなんて、だれにも分からないわ。もしかしたら、私の隣の席の男子が将来事業を起こして大成功するかもしれないし、隣のクラスの地味めな女子のだれかが世界的な有名人になるかもしれないわ」
「ああ。あるかもしれないな」
それこそ、未来のことなんて神様にでも聞かない限りわからない。
「でも、ひとつだけ私にだって分かっていることがあるの」
「……」「……」
俺たちはしばし無言で見つめあっていた。そして、先に視線を外したのは俺だった。戸田のとがめるような視線に耐えられなくなったからだ。
そんな俺の耳朶を戸田の失望のため息が打っていた。


家に帰った俺は真っ先に自室の机に向かった。
そして、パソコンに電源をいれて、ワープロソフトを立ち上げた。
書きかけのまま残されていたデータは、半年前まで夜も昼も一心不乱に書きつづっていた文章だった。生まれて二本目の小説。
出版社の新人賞に初めて書き上げた小説を応募し、その結果が発表された時、俺はつよい衝撃を受けた。
一緒に応募した戸田の作品が三次審査まで残り、俺の小説は一次審査さえ通過しなかったのだから。
そして、俺は書くことを止めた。
モニターに映し出されている文章を眺めながら、あのときの苦い感情が蘇ってくる。戸田の気まずげな表情とともに。そして、さっきの部室でのため息も。
光の加減でそう見えただけかもしれない。でも、俺には今にも涙をこぼしそうな悲しげな表情で睨んでいるように見えた。
そして、これだけは断言できる。あれは絶対に満たされているって顔じゃなかった。
――これを書き上げたって、どうせまた落選するだけだろう。一次すら通過しないだろう。
キーボードに指を置こうとする瞬間、そんな考えがよぎった。
たぶん、その通りかもしれない。
でも、たとえそうだとしても、かすかな希望を信じて、最後まであがきつづけない人間は永遠に成功者になることはない。誰かを満たすなんてできない。
いや、誰かをなんかじゃない。たった一人でいい。その一人を満たしてやりたい。
耳に戸田の失望のこもったため息が再生された。それを振り払うように、俺は頭を振る。
俺はイケメンじゃないし、成功するとは限らない。それでも……
半年ぶりにキーを叩き始めた。


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posted by くまのすけ at 18:12| Comment(0) | 短編・ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月06日

迎えの車




――僕、大きくなったらアカリちゃんを……

ジジジジジ――

目覚まし時計が鳴って目が覚めた。
「夢か……」
あれは小学校低学年のころだったろうか。いや、まだおばさんが生きていたころだから、もう少し小さかったときだろう。
親父の同僚で家族ぐるみの付き合いをしている辰宏おじさんの一家とでバーベキューをしたとき、俺はみんなを前にそう宣言したのだ。
アカリというのは、辰宏おじさんの一人娘で俺と同い年の子。のちに高校で一緒のクラスになったこともあったけど、そのころにはもうあんな約束のことなんてお互い忘れてしまっていて、会えば普通に挨拶する程度の間がらにすぎなくなっていた。
そんな昔の思い出を今さら思い出すなんて、やっぱり今年の正月に我が家へきた年賀状のせいだろうな。
『今からもう初孫が生まれるのが楽しみです』
そんな一文が最後に添えられていた。


しばらく、そんなことを考えながらベッドの中でうだうだしていたら、
「こら、ヨシノリ、いつまで寝てるの。今日は式の日でしょ。アカリちゃんを迎えに行かなくていいの?」
母さんが大声出しながら起こしに来る。そう、今日は成人の日。去年、二十歳の誕生日を迎えた俺たちは、市役所隣の市民会館で催される成人式に出席することになっていた。
「てか、なんで俺が迎えに行かなくちゃいけないんだよ……」
「なに言ってんのよ。一昨年あんたが免許取ったその日にアカリちゃんと約束したんじゃないの。ちゃんと知ってんのよ」
「なんでそんなこと知ってんだよ。つうか、覚えてんだよ」
「なんでって、こないだ道でばったりアカリちゃんと会った時に念を押されたもの」
「はぁ〜」
ったく。
大学入ってアルバイトで溜めたお金で自動車学校に通い、首尾よく免許取ったその帰り道、俺は電車に乗っていたのだが、それに偶然乗り合わせていたのがアカリだった。あっちは大学の帰り。
化粧して見違えるほど大人っぽくなっていたアカリにどぎまぎしながらも、それでも免許が取れたことがうれしくてついつい自慢したら、そんな話になったのだっけ。
つうか、俺でいいのかよ? 旦那にでも送ってもらった方がいいんじゃ?
「ほら、グズグズしてないで、起きて顔洗ってらっしゃい。アカリちゃんが待ってるわよ」
待ってるわけないんだけどな。今さら迷惑なだけのはずなんだが。
はぁ〜


気が進まないながらも、もそもそと仕度をして、借りた親父の車をガレージから引っ張り出した。
「いってらっしゃい。よそさまのお嬢さんを乗せるんだから、安全運転を心がけなさいよ。スピードの出しすぎなんてもってのほかなんだから」
「ああ、分かってる」
「あ、そうそう、さっきアカリちゃんの家に電話したら、もう玄関で待ってるって言ってたわよ」
「マジかよ」
本当に俺でいいのかよ?
そう訊きたいが、残念ながら俺のスマホにはあいつの連絡先は入っていない。
「じゃあ、行ってくる」
「気をつけてね」
母さんに見送られながら、俺は車を走らせ始めた。


この家へ来るのは何年ぶりだろうか?
子供のころに何度か親父の車に乗せられてきたことはあるが、正直道順なんて全然頭に入ってなかった。カーナビさまさまだな。
エンジン音を響かせながら、玄関の前に停めたら、すぐにドアが開く。いそいそという感じで出てきたのは、首元にふさふさのファーを巻いた振り袖姿のきれいな女。思わず見とれてしまったのだが。
「遅いよっ!」
「えっ? えーー!」
アカリだった。すこし見ない間に、こんなに綺麗になるなんて……
絶句していたら、さっさと車に乗りこんでくる。シートベルトをして、どこか見覚えのある笑顔で俺に笑いかけくる。
「ひさしぶり」
「お、おう」
「今日はよろしくね」
「あ、ああ」
俺が覚えていたのとは全然違う雰囲気に気おされ、直視しつづけられず、それでも呆然とルームミラー越しにその艶やかな姿に見とれているだけだった。
「ちょっと、なにボウッとしてるのよ」
「えっ? あ、ああ」
「……」
ルームミラーの中で視線があった。はにかむように、口元をほころばせている。
「ふふふ。そんなに見とれるほど綺麗?」
「ああ」
思わずこぼれた俺の本音に、恥ずかしそうに顔を押さえた。


「ねぇ、怒ってる?」
「いや、別に……」
「本当?」
「ああ。別に怒ってない」
「うそ。ずっとムスッとしてさ」
「いや、そういうわけじゃ……」
辰宏さんと去年再婚したその奥さんに見送られて車を出発させてから、しばらくたっている。市民会館までほぼ半分の距離を移動したあたりだ。
正直、アカリの今まで見たことがない華麗な姿に圧倒され、そして、あの年賀状の文面なんかが頭の中を駆け巡って会話どころじゃなかった。気おくれして、混乱して、ずっと道中黙ったままだった。
「本当にいいのかよ?」
「ん? なにが?」
「俺なんかに送ってもらったりして」
「……?」
「旦那に怒られたりしたいのか?」
「なんのこと?」
不思議そうだ。キョトンとしている。
「結婚したんじゃないのかよ?」
「だれが?」
「アカリ」
「私?」「ああ」
「……」「……」
「してないわよ」
「してない?」
「するわけないじゃない!」
「えっと……」
じゃあ、あの年賀状の文面は…… ハッ、そうか。
「シングルマザーかよ。父親だれだよ」
「ちょっとなにわけのわからないこと言い出してるのよ」
「腹の中の子の父親だれだよ。俺の知っているやつか?」
「はぁ?」
「なあ、教えろよ!」
「……はぁ」
なんかすごく呆れたようなため息をついた。
「ばっかじゃない」
「なんでだよ……」


結局、そのあとも車内は沈黙が支配する悪い空気のままだった。アカリもムスッとした顔をしている。
市民会館の有料駐車場に車を止めたら、黙ったままで自分でドアを開け、勝手に下りていった。
シフトをパーキングにして、キーを抜いて、つづいて俺も降車。
そんな俺に、車の屋根越しに鋭い声が飛んできた。。
「言っとくけど、私、結婚もしてないし、誰の子供も妊娠してないからね」
「えっ? でも、今年のおじさんからの年賀状で初孫がどうのこうのって……」
「はぁ〜 やっぱり勘違いしてる。こないだも親戚の人に同じこと言われたわ。でも、それってお姉さんの子のことだから」
「お姉さん? だって、アカリって一人っ子だろ?」
「去年父さんたち結婚したでしょ? そのときに、新しいお母さんには連れ子がいて、お姉さんなの。あっちは結婚しててもうすぐ赤ちゃんが生まれるのよ」
「……」
「だから、孫を産むのは私じゃないからね」
「そ、そうなんだ……」
な、なんだ? このとてつもない安心感は。思わず、笑顔があふれる。止められない。
そんな俺の顔をじっくり眺めながら、アカリも白い歯をこぼした。
「大体、ヨシノリはとっくに忘れてるかもしれないけど、まだ私はあのときの約束のこと覚えてるんだからね」
「えっ? なんだって?」
「なんでもない。べぇ〜だ」
そうして、俺の顔を直視できない様子で市民会館の玄関の方へさっさと歩き出し始めた。でも、すぐに立ち止って振り返ってくる。
「ほら、行こ。みんな待ってるよ」
「お、おう」
今まで見た中でも最高の笑みをこぼして前を向いたアカリの後ろで、車のキーをクルクル回しながら、ステップを踏むように歩き出したの、アカリに気づかれてないといいな。


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